CLSすがはら地域交流施設「おにぎりべんち」
竣工:2021年
建築面積:約190㎡(増築部のみ)
延べ床面積:約250㎡(増築部のみ)
種別:集会場及び児童福祉施設等
構造:木造2階建
施工:株式会社三協化研
設計:板野純アトリエ+古川学設計舎 設計共同体
構造:XYZstructure
撮影:針金洋介
「つながりを強化することかが福祉には重要。ただ場を作るのではなく「場作り」から地域と取り組みたい。」そのような思いを形にする計画である。具体的には、大牟田の医療法人による、福祉事業所と地域交流施設が複合された建物であり、病院を初めとする様々な事業所が建つ敷地内にどう建てたら良いかの議論から始まった。敷地周囲に塀がなく誰もが気軽に入りやすい状況はよいが、東側の前面道路は狭い。そんな狭い道路沿いの敷地は、法人関係者の行き来も多く、放課後児童の遊び場にもなっていた。そこで次のような提案を行った。1敷地の曖昧さを壊さないように建てる。2病院と住宅地のバッファーに機能的な関係を導く。3未完成で良い。この三つの軸で我々が描いた未来図は、敷地の外周部に用途を規定しない大小様々な木造施設を林立させる提案だった。医療法人の描くこれからの活動は未知数であり、器の規模感を大切に検討した。また、それらをつなぐ「道」を重視することで、場づくりを加速させると考えた。今回の建物はその道の出発点となる。(大小様々な器は今後運営とともに検討されていく予定で今回はその中心となる施設の計画のみとなる。)敷地北側と東側に伸びる回廊を配置した1 階には、地域の方々が利用できる施設を配置。夕方には照明が灯り、周囲を優しく包んでくれる。基壇として少し持ち上げられた回廊は、寄り付きやすい道のべんちとなるほか、水害対策も兼ねた。回廊と諸室は開放的にしたいが構造的なバランスをとるため、耐震要素が必要となる。拒絶感、疎外感が出ないように市松模様の木格子壁を耐震壁として配置した。2階は回廊と諸室の関係を反転させ、敷地内に開放し、スタッフの居場所とした。使用しやすい素材や構法は、増改築のハードルも下げる。子供がアートと触れあえ、しかも汚してよい器も建てることができればと関係者で話していたが、すでに今回の建物に大きな木の絵が描かれつつある。地域のキャンバスがスタートした様子。運営が良い形で機能し、つながる福祉が形づくられつつある。